スパイラルの咆哮
二人組で活動しているロックバンド「amazarashi」。旧名はアマザラシ。
この楽曲はメロディ、アレンジ、歌詞、声、演奏に至る全ての要素で非常に完成度が高い。
音楽であり、芸術とも言える作品に仕上がっている。
イントロのギターとエレピに乾いたストリングス(帯域を削ったorサンプリング)が色の無い世界を作っている。
そこから大地が目覚めるかのような何重にも重ねたギターのバッキングが生き生きとしている。センターで鳴っているディレイのかかったギターがかっこいい。
Aメロは声と詞にフォーカスをあてていてMIXも聴きやすいし、詞が非常に面白い。
メロディが飽きないのは詞に哲学的なものを感じるのもあるが、キレのあるタイトなドラムが躍動感を生んでいるからだろう。
この楽曲の凄いところはサビが持つ圧倒的な支配力
切ないメロディラインなんだけど、生傷だらけの剥き出しの言葉が脳にある側頭葉を刺激する。
そして「教えて 教えて」のファルセットの部分で心に響く。そこに先ほどまでとの間で小さなギャップが生まれ、ファルセットが効果的に効いている。裏で鳴っている高音で弾いているギターのピッキングもサビのメロディと同調しているのがわかる。
この楽曲を一言で表すなら"スパイラルの咆哮"という言葉が浮かんだ。
渦巻きは原点から曲線上にどんどん弧を描いて離れていく。あるいは外から中に弧を描いて追い詰められていく。
そのスパイラルの中で人はもがき、生きている。
作曲は秋田ひろむさん。
PVは関和亮さんという今の邦楽界をリードしている映像ディレクターが手掛けています。
評価9